研究課題
核内受容体constitutive androstane receptor(CAR)はcytochrome P450(cyp)、硫酸およびグルクロン酸抱合酵素や一部のトランスポータの転写調節因子として働くことが明らかとなり、pregnane X-receptorとともに外来異物に対する生体防御センサーとしての機能が注目されている。これまで、CAR機能は主にその細胞内分布により調節されていると考えられてきたが、申請者らの最近の知見は、外来異物がクロマチン構造を変化させることとCARの転写活性化が連関して転写活性化に寄与していることを示唆する。これまで、外来異物がクロマチン構造を一過性に変化させ、それが遺伝子発現と関連する事実を示した報告はほとんどない。本研究では上記仮説を検証することにより、化学物質に対する生体防御応答や毒性にクロマチン構造変化が関連するかを明らかにすることを目的とする。平成19年度においては以下の検討を行った。1.ユークロマチン・ヘテロクロマチンバランスに与えるフェノバルビタール(PB)の影響。2.ATP依存性リモデリング因子Brg1とCARの相互作用に対するPBの効果。3.マウスcyp2b10遺伝子のC1田結合領域(PBREM)および基本転写因子結合領域のアセチル化に対する、PB投与の影響。これらの検討から、PBはin vivoで肝細胞核中のユークロマチン・ヘテロクロマチンバランスをユークロマチン方向に劇的に変化させることを明らかとした。しかし、cyp2b 10遺伝子上では必ずしも明確なヒストンアセチル化やCARとBrg1リモデリング因子の相互作用の変化は生じていなかった。次年度においては、プロモーター領域のメチル化およびヒストンリン酸化を中心に解析を進め、異物暴露によるcyp遺伝子発現誘導におけるエピジェネティック調節の一端を明らかにする。
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