研究概要 |
ナノ粒子の経口免疫寛容に与える影響について検討した。実験動物としてTh1およびTh2両免疫応答を強く誘導可能なDBA/1Jマウスを用いた。免疫抗原としては卵白アルプミン(OVA)アジュバントとしてはcomplete freund'sadjuvant(CFA)を用いた。低用量経口免疫寛容を誘導するため、0.1mgのOVAの同じ抗原での免疫前1日1回5日間、経口投与用のゾンデを用いて投与した。高用量経口免疫寛容は20mgのOVAを免疫前5日に1回投与することによって誘導した。ナノ粒子としては、酸化亜鉛を用いた。種々の用量(1,10,100μg)の酸化亜鉛を生理塩水に懸濁し、各OVA経口投与直前に経口投与した。OVAに対するT細胞を分離し、同系マウスの放射線処理した抗原提示細胞およびOVAとともに72時間培養した。培養終了前6時間に3H-thymidineを添加し、本放射物質の細胞内取り込みを測定した。また、ナノ粒子曝露動物における血清中のOVA特異的IgG、Th1依存性抗体としてIgG2a、Th2依存性抗体としてIgG1、IgEをELISA法によって測定した。また、T細胞によって産生されるTh1サイカインとしてIFN-gamma、Th2サイカインとしてIL-4、IL-5をELISAによって測定した。その結果、まだ予試験的結果であるが、用いた酸化亜鉛および投与条件では低用量および高用経口免疫寛容におけるTh1はおよびTh2免疫寛容は影響を受けないという結果が得られた。今後、酸化亜鉛の用量、投与期間などについて詳細に検討し、ナノ粒子の経口免疫寛容に与える影響について検討する必要がある。
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