研究概要 |
イミダクロプリドのキュウリへの取り込みに及ぼすスフェロゾームの影響並びにアブラ虫防除効果 直径15cmのポリポットにキュウリの苗を植え、2葉期に土壌表面に米ぬかから分画したスフェロゾームを1株当たり0.5g撒く。イミダクロプリド粒剤は、1株当たり2gを株元処理する。適用後3、7、14、21日目のキュウリの地上部を切り取り試料とした。適用後3、7、14、21日目のキュウリの地上部を切り取り試料とした。細かくきざんだキュウリ5gにアセトニトリル30mLを加えて30分間振とうし農薬を抽出する。ろ過後、分液ロートにろ過液及び5%NaCl溶液50mLを加え、ヘキサン30mLで洗浄する。水層を分取し酢酸エチル30mLで2回抽出する。酢酸エチル層を濃縮乾固し、酢酸エチル/ヘキサン(2:8)2.0mLを加えシリカゲルミニカラムに負荷させ、酢酸エチル/ヘキサン(2:8)20mLで洗浄する。酢酸エチル20mLで溶出し、濃縮乾固後アセトニトリル/水(25:75)で10.0mLとし、HPLC(UV検出器)法によりイミダクロプリドを定量した。キュウリ中のイミダクロプリド含量は農薬のみを適用した場合は3日目に、8.1μg/gに達し、以降急激に低下し、14日目に2.4μg/gとなった。これに対し、農薬とスフェロゾームを同時に適用した場合は、初期の段階でもわずかな取り込みで3から14日目の期間中1.5〜1.6μg/gを維持した。従って、スフェロゾームを適用することで、イミダクロプリドは急激には吸収されず、キュウリが成長する間も徐々に吸収されていた。イミダクロプリド粒剤(2g/株)によるキュウリのワタアブラムシ除去効果は、農薬もスフェロゾームも適用していない無処理のキュウリでは、ワタアブラムシの数は20からどんどん増えて21日目には1,613になった。これに対して農薬を適用しているキュウリではスフェロゾームの有無にかかわらずワタアブラムシの増殖は殆ど認められなかった。スフェロゾームはイミダクロプリドのキュウリへの急激な吸収を抑え、徐放性効果を持つと考えられる。これらの成果は環境科学会2008年会(2008年9月18日、東京)で発表した。
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