皮膚組織における機能解析1)AhRは表皮の基底細胞、脂腺、毛包の上部に認められた。特に皮脂腺では特徴的な染色パターンを示し、AhR発現細胞は、腺前駆細胞の増殖・分化に重要な転写抑制因子Blimp1を発現する細胞と部分的に一致した。このことからAhRとBlimp1との関連性に着目した。脂腺細胞株をAhRリガンド処理するとBlimp 1 mRNAnが増加することがわかった。これはケラチノサイトでも観察された。Blimp1の発現を抑制すると皮膚のバリア形成が遅延することが既に報告されている。胎生17.5日齢のマウスを用いて、バリア形成をトルイジンブルー染色により調べた。正常マウスならびにAhR+/-マウスではおよそ70%の個体でほぼ完全なバリア形成が観察された。一方、AhR-/-それはおよそ30%であり、バリア形成の遅れがみられた。2)創傷治癒過程で発現が変化する遺伝子を正常マウスとAhR-/-とで比較した。DNAマイクロアレイの結果は、正常マウスの治癒の過程で炎症反応に関わる遺伝子の発現がAhR-/-よりも高いことを示した。これはAhRが皮膚の炎症に関わっていることを示す報告と一致している。3)XRE-Luciferaseがゲノムに組み込まれたマウスを得た。 腸上皮細胞におけるAhR機能の解析C57BLの胎児に由来する腸の組織を酵素的に解離して、得られた細胞を培養した。シャーレに付着した細胞は、大部分が繊維芽細胞の形態を示した。低カルシウム培地を用いることでE-cadherin抗体で染色される上皮様細胞が観察された。
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