研究概要 |
1 使用した標識薬剤および実験動物 ・(標識薬剤)脂肪酸代謝を評価する標識薬剤として[I-131]標識脂肪酸([I-131]9MPA)を,糖代謝を評価する薬剤として[C-14]標識糖([C-14]2DG)を用いた。 (実験動物)正常動物群(ラット;正常)を用いた。 2 動物実験 ・正常心臓における集積性の経時変化実験,局所集積性の画像化実験(オートラジオグラフィ実験:ARG実験),脂肪酸代謝分析実験,心筋組織の染色実験等を行い、上記標識薬剤を用いた正常心臓の機能評価を検討した。 ・その結果 (心臓集積性の経時変化実験)正常心臓ではどの検討時間においても(脂肪酸の集積性)>>(糖の集積性)であり,また経時変化において脂肪酸集積性-経過時間と共に減少,糖集積性-経過時間と共に微増の傾向が見られた。このことから正常心臓の活動における主エネルギー源が脂肪酸であることが確認できた。 (ARGによる心臓局所集積性の画像化)[I-131]9MPA+[C-14]2DGの混合薬剤を用い,[I-131]と[C-14]との半減期の違いを利用して[1-131]9MPA,[C-14]2DG各々の心筋局所集積性画像を作成し、同一心筋切片における脂肪酸および糖の集積性を検討した。その結果、正常心筋において脂肪酸のより高い集積性が認められ、正常心臓の活動では脂肪酸が主なエネルギー源となっていることが確認できた。 (脂肪酸代謝分析)[I-131]9MPAを用いた脂肪酸代謝物分析(TLC分析)を行った結果、正常心臓における主代謝産物は貯蔵型代謝物であるトリグリセリドであることがわかった。 (心筋組織標本の作成)Azan-Malloryl染色による心筋薄切片の染色を行った。心筋正常組織においては,色素の組織への取り込みは認められなかった。
|