研究課題/領域番号 |
19590140
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
根本 信雄 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 教授 (10085631)
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研究分担者 |
佐久間 勉 富山大学, 医学薬学研究部 (薬学), 准教授 (30250468)
河崎 優希 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 准教 (30432107)
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キーワード | CYP2B9 / シトクロムP450 / 成長ホルモン / 性ホルモン / HNF3β(FoxA2) |
研究概要 |
メス特異的に発現するマウスCyp2b9遺伝子の転写機構について、検討した。性腺摘出動物に性ホルモンを投与することや、脳下垂体摘出動物に成長ホルモンを投与することで、Cyp2b9発現に雌雄差があるのは、雄性ホルモンが視床下部に働きかけ、脳下垂体に成長ホルモンを雄性パターンで分泌するように命令し、それによって起こる血中成長ホルモン濃度のオス型の変動を肝臓の細胞が認識して、オスでは抑制的に働くとが示唆された。次に発現調節に関わる遺伝手領域を決めるために、遣伝子の5'上流域約2.4kbをルシフェラーゼ遺伝子に連結し、マウス肝細胞初代培養系に導入したが、全く転写活性が認められなかった。しかし、このレポーター遺伝子を尾静脈からマウスに注射し、肝臓での発現をみるというハイドロダイナミック法では、メスマウスでのみ活性が認められた。2.4kb断片を精査すると-234/-193領域が疑われ、この領域に変異を入れると活性が失われることや、あらかじめメスマウスをオス型の成長ホルモン分泌パターンで処理しておくと、発現が認められなかったことなどから、性依存的な発現に関わっていることが示唆された。この塩基配列はHNF3β(FoxA2)結合領域であると想定されたので、さらに確認のために抗FoxA2抗体を用いたChIPアッセイを行ったところ、メスの染色体のみで結合が観察された。また、この塩基配列は成長ホルモンが関わる転写抑制因子として知られるSTAT5bとも結合することが予想されたので、同じくChIPアッセイを行うと、FoxA2とは逆にオスでのみSTAT5bの結合が認められた。以上の結果、Cyp2b9発現の雌雄差は、FoxA2がプロモーター領域に結合することで、抑制因子の結合を阻害して転写を促進するのに対し、STAT5bがプロモーター領域に結合することによって、転写を抑制する機構が働いていると考えられる。
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