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2007 年度 実績報告書

免疫抑制剤の薬物動態と薬効の速度論的解析と相互作用を考慮した適正使用法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19590141
研究機関京都大学

研究代表者

矢野 育子  京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50273446)

研究分担者 福土 将秀  京都大学, 医学研究科, 技術職員 (60437233)
キーワード免疫抑制剤 / 薬物相互作用 / mTOR阻害剤 / 薬物動態
研究概要

エベロリムスはmTOR活性阻害を介して細胞増殖を抑制することから、移植後の免疫抑制剤や抗腫瘍剤として臨床使用が期待されている。エベロリムス経口投与後のバイオアベイラビリティは低く、薬物代謝酵素CYP3AやP-糖蛋白質を介して初回通過効果を受けることが示唆されている。また、エベロリムス血中濃度はCYP3AやP-糖蛋白質の阻害剤であるイトラコナゾールの併用によって上昇することが知られているが、両薬剤の投与経路と相互作用との関連については明らかではない。そこで、エベロリムスの小腸及び肝抽出におけるイトラコナゾールの影響について、ラットを用いて定量的な解析を行った。その結果、イトラコナゾールとエベロリムスを共に小腸内投与した場合、エベロリムスのAUCは約5倍に上昇した。一方、イトラコナゾールを静脈内に投与し、エベロリムスを小腸内あるいは静脈内に投与した場合には、エベロリムスAUCの上昇は2倍程度であった。イトラコナゾール非併用時における小腸内投与時のエベロリムスのバイオアベイラビリティは約20%、肝抽出率は約13%、見かけの小腸抽出率は約80%と算出された。従って、イトラコナゾールはエベロリムスの小腸及び肝抽出率をいずれも阻害するが、エベロリムスのバイオアベイラビリティの上昇は主として小腸抽出率の低下に起因することが判明した。さらに、免疫抑制療法としてエベロリムスと併用される可能性のあるカルシニューリン阻害剤の影響について検討した。その結果、臨床で用いられる血中濃度域では、タクロリムスはエベロリムスの体内動態にほとんど影響を与えないものの、小腸内に投与したシクロスポリンは、小腸内に投与したエベロリムスの血中濃度を有意に上昇させた。一方、静脈内及び門脈内投与後のエベロリムス血中濃度にはほとんど影響しなかったことから、相互作用部位として小腸の寄与が大きいことが示唆された。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Impact of intestinal MDR1 and CYP3A5 on the oral clearance of tacrolimus in adult living-donor liver transplant patients.2008

    • 著者名/発表者名
      Fukudo, M., Yano, I., et. al.
    • 雑誌名

      Pharmacogenet. Genomics (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Distinct effects of omeprazole and rabeprazole on the tacrolimus blood concentration in a kidney transplant recipient.2007

    • 著者名/発表者名
      Takahashi, K., Yano, I., et. al.
    • 雑誌名

      Drug Metab. Pharmacokinet. 22

      ページ: 441-444

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Paclitaxel with Carboplatin or Gemcitabine and Effects of CYP3A5 and MDR1 polymorphisms in Patients with Urogenital Cancers.2007

    • 著者名/発表者名
      Jiko, M., Yano, I., et. al.
    • 雑誌名

      Int. J. Clin. Oncol. 12

      ページ: 284-290

    • 査読あり
  • [学会発表] 臓器移植に生かす免疫抑制剤のPK/PD2007

    • 著者名/発表者名
      矢野育子、乾 賢一
    • 学会等名
      第17回日本医療薬学会年会, シンポジウム29-S4
    • 発表場所
      群馬
    • 年月日
      2007-09-29
  • [図書] 薬剤師が変える薬物治療2-安全ながん治療とテーラーメイド医療に向けて-"2007

    • 著者名/発表者名
      京都大学医学部附属病院薬剤部
    • 総ページ数
      231
    • 出版者
      じほう

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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