研究概要 |
平成20年度の研究により下記の研究成果を得た。 1、局所薬物動態評価系を用いた各種モデル薬物の筋肉内拡散動態評価: 線状の薬物供給源(微小透析用プローブ)を用い,筋肉内局所に定速送達した薬物の送達部位から周辺部への薬物の拡散・移行・消失過程の速度論的解析に関する評価系を構築した。実験動物(ラット)におけるからの筋肉内の拡散・移行・消失過程を薬物供給源から任意の位置に留置した複数の微小透析プローブによりモニタし,適用局所からの側方への拡散過程を評価し,薬物間で筋肉組織内の拡散・滞留特性が異なることを明らかにした。本知見は、限局的な作用発現を目指す薬物送達システムの新しい評価系構築に関する有益な基礎的知見となる。 2、局所血流が薬物の筋肉内拡散動態に及ぼす影響評価のための実験系の構築: 血管収縮薬であるフェニレフリンを用いて局所血流動態を局所的に低下させる評価系を構築した。本評価系は,局所血流が薬物送達システムの限局的な作用発現に及ぼす影響を考察する上で有用な基礎的評価系となり得る。送達部位近傍の局所血流低下により血流低下領域とそれ以遠の領域では薬物拡散動態が大きく異なることを明らかにした。 3、局所薬物動態評価への脂肪乳剤を透析液とする微小透析法の応用: 親油性の高い薬物に対する低い回収効率を改善することができる脂肪乳剤を透析液とする微小透析法(Lipo-MD法)における局所薬物濃度変化に対するモニタ時の追随特性を速度論的に評価した。Lipo-MD法は,従来のリンゲル液を透析液に用いる方法に比べ,回収効率の改善だけでなく,濃度一時間変化に対する追随特性にも優れる新しい局所薬物動態評価方法であることを明らかにした。
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