研究概要 |
(1)Quinidineの初回通過効果に対するP-gp及びCYP3Aの寄与の定量的評価:Dexamethasoneを25,50,100mg/kg/dayの投与量で2日間経口投与したラットの小腸を用い、in vitro膜透過実験によりrhodamine123の分泌方向の透過性を評価したところ、dexamethasoneの投与量に依存したrhodamine123の透過性の増大が認められた。また、同様の処置を行ったラット小腸から調製したmicrosome画分を用いてtestosteroneの代謝を評価したところ、CYP3Aによる主代謝産物である6β-OH体の生成速度が、dexamethasone依存的に変化していることが明らかとなった。これらのことから、dexamethasoneを上記条件により投与することにより、P-gp及びCYP3Aを異なったレベルで発現するラットを作製できることを確認した。(2)難水溶性固形製剤のin vivo溶解挙動の解析と吸収動態予測への応用:Griseofulvinをモデル薬物として用い、難水溶性薬物に見られる吸収挙動の大きな個体内、個体間変動について焦点を絞り検討を加えた。Griseofulvinのような難水溶性、易吸収性の薬物の場合、その吸収挙動を律速するは、その溶解挙動、あるいは胃排出挙動となると考えられたため、胃排出のマーカーとしてtheophyllineを、また胃排出後の小腸内移行性のマーカーとしてsulfasalazineを同時に経口投与し、胃排出、小腸内移行性とgriseofulvinの吸収挙動との関連性を分析した。その結果、胃排出はいずれの個体においても比較的速やかであり、その個体差も、griseofulvinの吸収挙動において観察された個体差と比較して小さなものであり、胃排出と吸収挙動の変動との間には有意な相関は認められなかった。一方、deconvolution法により評価したgriseofulvinのin vivo溶解挙動は、griseofulvinの吸収挙動を良く反映したものであり、in vivo溶解挙動の個体差がgriseofulvinの吸収挙動の個体差の原因であることが明らかとなった。また、このin vivo溶解挙動は胃排出挙動との間には相関性は認められず、小腸内移行性の変動との間に有意な相関関係が認められ、小腸内移行性の変化がgriseofulvinの溶解挙動に影響していることが示唆された。
|