研究課題/領域番号 |
19590149
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
濱田 哲暢 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (00322313)
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研究分担者 |
齋藤 秀之 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40225727)
川口 辰哉 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (50244116)
松本 充博 熊本再春荘病院, 呼吸器科, 部長 (70253755)
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キーワード | オーダーメード医療 / 個別投与設計 / 抗悪性腫瘍薬 / 薬理遺伝学 |
研究概要 |
塩酸アムルビシンおよび活性代謝物アムルビシノールのP糖タンパク質(P-gp)に対する基質特異性を評価した。ブタ腎由来培養上皮細胞(LLC-PK1)およびヒトP-gpを過剰発現したL-MDR1細胞を用いた実験により、AMRおよびAMR-OHの細胞内蓄積量はL-MDR1細胞で有意な低下が観察された。一方、P-gp阻害薬CyAの併用によりL-MDR1細胞における細胞内蓄積量はLLC-PK1細胞と同程度にまで上昇した。AMRおよびAMR-OHの経細胞輸送実験において、L-MDR1細胞におけるapical側への輸送亢進並びにbasal側への輸送低下が認められた。一方、CyAの併用によりL-MDR1細胞における経細胞輸送はLLC-PK1細胞と類似した挙動を示した。これらの結果から、AMRおよびAMR-OHはP-gpの基質であることが明らかとなった。P-gp質の発現レベルの個人差が薬効に及ぼすことが示唆された。 慢性骨髄性白血病株K562細胞のIM耐性(K562-IM)細胞を樹立し、さらにIM耐性獲得CML患者の骨髄単核球及び白血球細胞を用いて、標的細胞内濃度の規定因子の一つと考えられる薬物トランスポータ、特に細胞外排出輸送担体であるP-gp、BCRP及び細胞内への輸送担体である有機カチオントランスポータ1(OCT1)のIM耐性獲得への寄与について検討した。K562-IM細胞ではK562細胞と比較して約47倍のIM耐性を示し、P-gp及びBCRPの発現量の上昇が観察されたもののOCT1の発現量の変動は認められなかった。K562-IM細胞において、IMによる殺細胞効果及び細胞内IM蓄積量は、P-gp阻害剤の併用により有意な回復が認められたが、BCRP阻害剤(fumitoremorgin C:FTC)の併用では変化は認められなかった。一方、OCT1阻害剤(amantadine)を用いた検討より、OCT1によるIMの細胞内への取り込みはK562-IM細胞とK562細胞との間で有意な差は観察されなかった。以上の結果より、IM耐性獲得機序には、P-gpの発現増大に伴う細胞内IM濃度の低下が関与し、BCRP及びOCT1の寄与は小さいものと推察された。
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