研究概要 |
慢性骨髄性白血病治療薬イマチニブの標準投与量は欧米と同じ400mgに設定されているが、副作用発生により減量投与が行われるため、イマチニブ血中濃度モニタリングを実施し至適投与量との関連を評価した。イマチニブ治療を実施された31名のCML患者(男性18名、女性13名、治療開始時平均年齢49歳)を対象とした。イマチニブ血中濃度はHPLCを用いて測定した。更に、イマチニブ投与後定常状態に到達した血中濃度を用いてNONMEMを用いて母集団薬物動態解析を行った。27例が細胞遺伝学的完金寛解を示したが、標準投与量は13例であり、9例は副作用により減量、5人は効果不十分のため増量した。4例はイマチニブ抵抗性と副作用のため治療を中止した。効果が認められた患者で標準投与群と減量投与群の血中濃度は1.4と1.2μg/mLであり、両者ともPicard (Blood,2007)が提唱している1,002ng/mL以上の目標血中濃度に到達していた。減量投与群の患者は標準投与群と比較して、体表面積が有意に小さく、女性ならびに高齢者が多い傾向が認められた。一方、年齢、体表面積、ALT、CCrなどがクリアランス変動要因として見出されたが、欧米人と比較しクリアランスが低い傾向を認めた。本研究により、減量投与において十分な血中濃度に到達する場合、良好な治療効果が認められるため、血中濃度のモニタリングがイマチニブの患者個別投与設計に有効と期待される。 大腸癌患者に対してCPT-11及びその代謝物の体内動態変動に及ぼすTS-1併用投与の影響について検討を行った。CPT-11の活性代謝物であるSN-38の血漿中濃度が低下することが認められた。SN-38の血漿中濃度はlactone及びcarboxylate体ともに著しい低下が観察された。以上の結果から、CPT-11とTS-1の併用は薬物相互作用の可能性があるため注意が必要と考えられる。
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