研究概要 |
Caco-2細胞を用いたエリスロマイシン(EM)の細胞内蓄積および輸送実験を行い、細胞内蓄積実験より細胞内非結合率を求めて、非結合型濃度基準の排出クリアランスを算出した。次に、CYP3A4基質としてテストステロン(TST)を用いて、ヒト小腸ミクロソームの代謝に対するEMのCYP3A4不活性化のパラメータを求めた。ヒト小腸ミクロソームとEMの接触時間、EM濃度を変えて、CYP3A4が種々の程度に不活性化されたヒト小腸ミクロソームを用いてTSTの代謝実験を行い、主代謝物である6β-水酸化体の生成速度を定量し、得られた阻害実験データからCYP3A4不活性化のパラメータ(K'app、kinact)値を算出した。 得られたEMの輸送パラメータ、CYP3A4不活性化パラメータを、我々が報告してきたITAM(Intestinal Transit,Absorption and Metabolism)モデルに組み込み、CYP3A4基質(トリアゾラムおよびミダゾラム)の小腸アベイラビリティ(Fg値)を算出した。エリスロマイシン併用時と非併用時のFg値を比較することで、エリスロマイシンの阻害効果を定量的に評価した。ミダゾラムとエリスロマイシンの併用については、ヒトにおける投与試験が報告されているので(Olkkola K.T.et al,Clin.Pharmacol.Ther.53:298-305,1993)、本モデルによるFgの予測値をヒトにおける報告値と比較することで、本予測法の妥当性を検証した。
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