研究課題/領域番号 |
19590158
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中島 恵美 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (90115254)
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研究分担者 |
巨勢 典子 慶應義塾大学, 薬学部, 研究員 (60348612)
西村 友宏 慶應義塾大学, 薬学部, 助教 (40453518)
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キーワード | 血管内皮前駆細胞 / 血管新生 / 血液-組織関門 / 壁細胞 / FGF / VEGF / CD133 |
研究概要 |
血管内皮細胞および収縮型、合成型血管壁細胞は血管を構成する細胞群であり、血液-組織関門の構築および維持に重要な因子である。しかし、それらの細胞群へ成熟する過程には未解明な点が多く、本研究では血管内皮前駆細胞が血管壁細胞へ成熟する分化機構を解明すること目的としている。当該年度においては条件的不死化ラット骨髄由来血管内皮前駆細胞株(TR-BME)を用いて壁細胞への分化を調節する因子につい検討を行った。 TR-BMEの血管壁細胞への分化を制御している因子を同定するため成長因子であるbFGF、VEGF、EGFまたはIGFを添加した培養液で培養したTR-BMEの壁細胞マーカーSMA発現量を比較した。bFGFは、ES細胞や神経幹細胞の自己増殖を誘導することで多分化能を維持することが報告されている。VEGF、EGF、IGFを添加して培養したTR-BMEは、SMAの発現上昇が見られたが、bFGFを添加して培養したTR-BMEは、SMA発現上昇がなく、血管壁細胞様に分化しなかった。また、bFGFは、TR-BMEの増殖を濃度依存的に増加させ、20ng/mLのbFGFで培養したTR-BMEは、CD133の発現、matrigel上での管腔構造への分化能を維持し、SMA、SM22の発現増加を示さなかった。一方、bFGFを添加していないTR-BMEと25ng/mL VEGFを添加したTR-BMEでは、CD133の発現と管腔構造への分化能が減少し、SMA、SM22の発現が増加した。 したがってCD133、CD34、Flk-1陽性骨髄由来血管内皮前駆細胞が、bFGFの刺激により自己増殖を誘導することで血管内皮前駆細胞の機能を維持し、少なくともVEGFの刺激により血管構造を形成する可能性が示唆された。
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