本課題は、がん細胞をターゲットとするのではなく、がん組織部位の血管内皮細胞をターゲットとするがん免疫療法である。In vitro条件下でがん組織部位の血管内皮細胞を樹状細胞にパルスし、それをin vivoに戻すものである。この方法により、腫瘍組織部位の血管内皮細胞に対する免疫が誘導され、腫瘍組織の血管が破綻し、腫瘍はその栄養供給のパイプを絶たれるため、いわゆる「兵糧責め」によるがんの退縮が期待される。本方法はがん細胞そのものを標的とするより1)効率が良い、2)副作用が低い、3)免疫細胞に移行障壁が無いなどの利点を有していることが期待され、その有用性を明らかとする。本年度は、脳腫瘍脳内での脳腫瘍細胞数の定量的解析、および局在の解析を目的に、ルシフェラーゼ発現マウス脳腫瘍細胞を作製した。すなわち、発光イメージング装置(IVIS)を用いることによって、がん細胞数、および脳内分布を非侵襲的かつリアルタイムに解析することを目的としている。マウス脳腫瘍細胞株(203G、GL261)にこれら遺伝子を導入し、安定発現株の樹立を行い、脳内の定量的解析が可能であることを明らかとした。さらに、抗原として用いるための初代培養脳腫瘍組織血管内皮細胞の単離法確立の基礎検討を行った。検討の結果、腫瘍組織をコラゲナーゼで処理後、Percoll密度勾配法により、フラクションに分離し、アンジオテンシン変換酵素活性、CD34を指標に血管内皮細胞を多く含むフラクションの単離に成功した。
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