1)rPMAT発現系を用いた有機カチオンの輸送解析rPMAT-Flag-Tag抗体を用いて発現系細胞を染色し、共焦点レーザー顕微鏡を用いてPMATタンパク質の細胞内局在を明らかにしたところ、rPMATは細胞膜に発現していることがわかった。また、rPMATの発現量の変化をウェスタンブロット法にて定量化したところ、時間依存的にrPMATの発現量が増加しており、今回作製した発現系はPMATの輸送機構を明らかにするのに適した細胞であることがわかった。次に有機カチオンのモデル基質である MPP^+(1-methyl-4-M-phenylpyridiniumのトリチウムラベル体を用いてPMATの輸送機構を解析した。その結果、[^3H}MPP^+の取り込みは濃度依存的、温度依存的、pH依存的であり、カリウム刺激によって取り込みが減少した。これらの結果から、PMATは膜電位依存的な促進拡散系のトランスポーターであることがわかった。 2)In vitroラット血液脳関門モデル細胞(TR-BBB13)におけるrPMATのノックダウンrPMATがTR-BBB細胞に発現し、輸送機能を保持しているかを明らかにするために、siRNA法でTR-BBB13細胞のrPMATをノックダウンした。その結果、siRNA細胞におけるMPPの取り込みは、コントロールの細胞に比べ有意に低下した。 3)単離ラット脳毛細血管におけるrPMATの発現解析ガラスビーズ法により調整したラット脳毛細血管においてrPMATの発現を解析したところ、全脳に比べ、血液脳関門でrPMAT mRNA高い発現を確認した。さらに、rPMATの抗体を作製し、タンパク質レベルでrPMATの発現を調べた。Western blotting解析により、rPMATは単離脳毛細血管に発現していることがわかった。 以上の結果から、PMATは血液脳関門に発現しているものの、輸送特性の結果から、rPMATこれまでに報告したピリラミントランスポーターとは異なる輸送特性を持つカチオントランスポーターであることが示唆された。
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