研究課題/領域番号 |
19590162
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (90173252)
|
研究分担者 |
松野 直徒 東京医科大学, 医学部, 准教授 (00231598)
|
キーワード | スーパー抗原 / ヒト末梢血単核細胞 / 免疫抑制薬耐性の分子機序 / インターロイキン-2 / MAPキナーゼ / JNK / グルココルチコイド / ロキシスロマイシン |
研究概要 |
スーパー抗原刺激によるヒト末梢血単核細胞(PBMC)の免疫抑制薬耐性発現機序の解析を目的として検討を行い、以下の結果を得た。まず、in vitroにおいてT細胞マイトゲンのコンカナバリンAで刺激した健常者PBMCとTSST-1で刺激した健常者PBMC間で、IL-2mRNA発現量を比較検討したところ、TSST-1で刺激したPBMCにおいて発現量が有意に増加した。次に、シグナル伝達経路に係わる各種キナーゼに対する特異的阻害薬と免疫抑制薬を併用した場合に、TSST-1刺激したPBMCにおける免疫抑制薬耐性を克服し得るか否かを検討した。PBMCにおいてプレドニゾロンにより誘導されるFKBP51mRNA発現の亢進はTSST-1刺激によって阻害されるが、この阻害はJNK阻害薬であるSP600125を併用することにより解除された。一方、溶連菌由来のスーパー抗原であるSPEAでPBMCを刺激するとグルココルチコイドの細胞増殖抑制効果は減弱されるが、この時マクロライド系抗生物質のロキシスロマイシンをグルココルチコイドと併用すると、PBMC増殖抑制効果が回復した。以上の検討結果から、スーパー抗原で刺激したPBMCにおける免疫抑制薬感受性の低下には、JNK活性の異常な亢進とその結果もたらされるIL-2mRNA発現量の増加がPBMCからのIL-2産生量の増加につながり、免疫抑制薬耐性を引き起こす可能性が示された。またスーパー抗原で刺激したPBMCにおけるグルココルチコイド感受性の低下は、ロキシスロマイシンの併用により回復することを示唆した。
|