健常者及び乾癬患者の末梢血単核球(PBMC)をスーパー抗原刺激し、その増殖に対するビタミンD3誘導体(VD3)やロキシスロマイシン(ROX)の効果、およびVD3あるいはROXとベタメタゾン(BM)の併用効果を検討した。被験者の末梢血より定法に従ってPBMCを分離し、液体培地にけん濁させた後、T細胞マイトゲン(コンカナバリンA)または溶血性連鎖球菌由来スーパー抗原のSPEAおよび種々の濃度の薬物存在下に培養し、[3H]チミジン取り込み量によってPBMC増殖率と薬物の抑制効果を算定した。一方、ビーズアレイ法とフローサイトメトリー法を用い、コンカナバリンAまたは溶血性連鎖球菌由来スーパー抗原で刺激したPBMCの培養上清中に放出される10種のサイトカインの濃度を測定した。健常者及び乾癬患者いずれのPBMCに対しても、SPEAはその増殖を強く促進したが、VD3やROXはこれを有意に抑制した(p<0.05)。またこの時VD3あるいはROXにBMを併用すると、PBMC増殖はより効率よく抑制された(p<0.05)。ROXはSPEA刺激したPBMCから産生される種々のサイトカインの産生量を有意に抑制し(p<0.05)、特にIL-2産生に対する抑制効果が強かった(p<0.05)。またROXは、SPEA刺激で亢進するPBMCのc-jun活性を有意に抑制した(p<0.05)。以上の結果から、細菌由来スーパー抗原は健常者及び乾癬患者のPBMCにおけるc-junを活性化して種々のサイトカイン産生を亢進し、ROXはc-jun活性を阻害することによりこれらのサイトカインの産生を抑え、PBMCの増殖を抑制するものと考えられた。
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