研究概要 |
難治性アトピー性皮膚炎の治療薬として新規免疫抑制剤FIY720を臨床に供給するため,皮膚炎モデル動物(NC/Ngaマウス)を用いてFTY720の有用性を検討した. 1)アトピー性皮膚炎治療薬としてのFTY720の有用性:自然経過で皮膚炎を発症したNC/Ngaマウスをプラセボ群(n=10,注射用蒸留水を週3回経口投与),吉草酸ベタメタゾン軟膏群(n=10,週2〜6回塗布),FTY720群(n=11,FTY720(3mg/kg,週3回経口投与)およびFTY720+吉草酸ベタメタゾン軟膏併用群(n=9,FTY720(3mg/kg,週3回経口投与)+吉草酸ベタメタゾン軟膏(週2〜6回塗布)に分け,治療効果を検討した.治療効果は肉眼所見(ADスコア),皮膚の組織染色(ヘマトキシリン-エオジン(HE)染色およびトルイジン・ブルー(TB)染色)および血清中IgE濃度により評価した.FTY720群ではプラセボ群に比べ,有意なADスコアおよび皮膚組織所見の改善がみられた.さらに,ベタメタゾン軟膏を併用すると一層の改善効果が認められた.さらに,FTY720群では炎症に伴う脱毛も有意に改善されていた.以上のことから,FTY720のアトピー性皮膚炎治療薬としての有用性が明らかとなった. 2)難治性アトピー性皮膚炎(ステロイド抵抗性)治療薬としてのFTY720の有用性:自然経過で皮膚炎を発症したNC/Ngaマウスに吉草酸ベタメタゾン軟膏を塗布し軽快しない個体(ステロイド抵抗性)を選別した.それらを上記の4群に分けFTY720による治療効果の判定を行っている.
|