研究課題/領域番号 |
19590169
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
上釜 兼人 崇城大学, 薬学部, 教授 (90040328)
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研究分担者 |
平山 文俊 崇城大学, 薬学部, 教授 (90094036)
松倉 誠 崇城大学, 薬学部, 教授 (70238997)
瀬尾 量 崇城大学, 薬学部, 教授 (20435142)
〓田 聡 崇城大学, 薬学部, 教授 (50412739)
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キーワード | スーパージェネリック製剤 / 親水性シクロデキストリン / 包接複合体 / フラーレンC60 / ナノ粒子化 / PEG化インスリン / Polypseudorotaxane / 放出制御 |
研究概要 |
本研究では生体適合性に優れる親水性シクロデキストリン(CyD)を用いて、高齢者・小児・障害者に優しい製剤処方の改良並びにスーパージェネリック製剤の開発を目指して、物理薬剤学・生物薬剤学・臨床薬学的観点から下記課題に関する基礎研究を実施し、所期の目的を達成した。 1 親水性シクロデキストリンによる難水溶性薬物のナノ粒子化と凝集抑制法の開発 我々は最近、CyDが脂溶性薬物と水溶性の超分子複合体を形成することを見出した。そこで今回はHP-β-CyDを用いて、難水溶性の抗酸化物質(フラーレンC_<60>など)のナノ粒子性粉体の調製条件の設定、粒子サイズの精密制御、凝集抑制法に関する基礎的知見を得た。今後は、薬物のラジカル形成能の評価ならびに安全性確保など、実用化に向けてさらなる検討を継続実施する計画である。 2 ヒドロキシアルキル化β-CyDによる難水溶性薬物の結晶形態の制御と溶解性改善 我々は最近、ある種のヒドロキシアルキル化CyDが難水溶性薬物の多形転移や結晶成長を抑制することを見いだした。そこで本研究では、経口投与製剤や外用剤にHP-β-CyDまたはHB-β-CyDを添加して薬物の多形転移、晶癖、・結晶化度などを制御することにより、薬物の溶解性や放出速度を精密に調節可能な製剤処方の構築を目指して基礎研究を実施し、興味深い知見を得た。 3 γ-CyDを用いたPEG化インスリンのPolypseudorotaxaneの形成による持続放出製剤の構築 蛋白質性薬物の安定性や血中滞留性などを改善するため、モデル薬物にインスリンを用いて、まずポリエチレングリコール(PEG)化インスリンを調製し、さらに、γ-CyDを用いてpolypseudorotaxaneを調製して、各種インスリンノのin vitroおよびin vivo放出挙動並びに生理活性を比較検討した。ラット背部に皮下投与後の血漿中インスリン濃度や血糖降下作用は、インスリン単独やPEG化インスリンに比べて、特にPolypseudorotaxane系において有意に増大し顕著な持続化効果が観察され、市販持続性インスリンよりも優れていた。
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