研究課題/領域番号 |
19590177
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
鶴尾 吉宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90207449)
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研究分担者 |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
伊藤 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30315931)
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キーワード | 性ステロイド / ステロイド代謝酵素 / 甲状腺 / 濾胞上皮細胞 / 傍濾胞細胞 / 形態学 |
研究概要 |
甲状腺では、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)という2つの甲状腺ホルモンが甲状腺濾胞上皮細胞から、またカルシトニンが傍濾胞細胞(C細胞)から分泌される。甲状腺ホルモンは基礎代謝を高めてエネルギー代謝を促進し、身体の成長や脳の神経細胞の発達には必須のホルモンであり、またカルシトニンは骨の代謝に関与するホルモンである。このような生体機能の調節に重要な役割をする甲状腺ホルモンとカルシトニンの甲状腺における合成・分泌は、血中の性ステロイドの濃度によっても変化することが知られていたが、他のステロイド標的器官の場合と同様に、精巣あるいは卵巣から分泌された性ステロイドが血行性に甲状腺に到達して作用すると信じられてきた。ところが、我々は研究の過程で性ステロイド産生に関与する酵素が甲状腺においても発現することを見出した。そこで、まず、Wistar系のラットを用いて、甲状腺濾胞上皮細胞とC細胞に、アンドロゲン代謝に関与するアロマターゼ、5α-リダクターゼの発現を免疫組織化学的手法にて確認した。使用した抗体は、抗アロマターゼはラットとヒト胎盤に対するものを、抗5α-リダクターゼはラット1型に対するものを用いた。動物は、生後2週から11週までの雌雄と、授乳中の雌を使用した。アロマターゼは、雌雄ともに、生後2週から濾胞上皮細胞とC細胞に同程度に認められたが、成熟とともに、傍濾胞細胞の免疫染色性が増強した。授乳中の雌では、C細胞の免疫染色性の方が強かった。5α-リダクターゼも、雌雄ともに、生後2週から濾胞上肢細胞とC細胞に同程度に認められたが、成熟経過とともに免疫染色性が低下した。授乳中の雌では、非授乳雌と比べて免疫染色性が強かった。アロマターゼ、5α-リダクターゼともに、雌は雄よりも免疫染色性が強かった。
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