本研究の目的は、プラコード由来感覚器の形成に不可欠なSix1遺伝子のプラコード特異的エンハンサーを活用したプラコード発生の理解である。本年度は以下の解析を行った。1)Six1PPRエンハンサーの解析:種々のトランスジーンを用いて、マウス胚におけるPPRエンハンサー活性の解析を行ったところ、その活性は前側PPRに限局されており、活性化には3ヶ所のDlx結合部位が必須であることがわかった。またニワトリ胚を用いた同様の解析とgel-shift実験の結果から、Six1のPPR特異的な発現は(活性化因子DlxとGataの共発現部位)-(抑制因子Msxの発現部位)によって規定されている可能性が示唆された。PPRの後側または全体でのSix1の発現を制御する機序については解析を継続中である。2)Six1エンハンサー/Creマウスの作製:昨年度、特異的な活性が確認されたSix1 OT1とCG1エンハンサーについては、下流にCre遺伝子をつなげたトランスジーンを導入した複数のファウンダーマウスを得た。F1個体とR26R-LacZとのかけあわせにより、OT1については鼻・耳・上鰓プラコードで特異的にCreを発現する系統を確認できた(E10.5)。CG1についても脳神経節特異的にCreを発現する系統を確認しており(E9.5)、詳細な細胞系譜解析とR26R-DTA(一度購入したが子供が生まれなかったので、再度購入予定)とのかけあわせによるプラコード障害実験を開始する準備が整った。
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