本研究では心筋虚血再灌流障害慢性期の冠血管アポトーシスの発症する病期おいて、冠微小血管の三次元構築が損壊されていく様相、血管構築の三次元空間的トポロジー、とりわけ冠細動脈と冠細静脈の三次元的相互的位置関係についての研究を行った。そのために新規の冠微小血管造影剤とマイクロCTを用いて、冠細動脈と冠細静脈の三次元構築を各々単独でイメージングあるいはオーバーレイするイメージングを可能とする新規の方法論を確立しようとした。 前年度は、正常ラット心同一検体に異なる素材の造影剤を注入し、これをマイクロCTで撮像し、条件設定を試行錯誤して冠細動脈・冠細静脈・心筋などの構成要素を選択的に分離抽出、さらにオーバーレイする三次元再構築イメージングを試みた。 これをうけ、引き続き本年度は心筋虚血再灌流障害のラットモデルの慢性期心臓のサンプルを用いて、同様のクオリティーの画像が得られるかどうか検討した。当施設に新規導入されたマイクロCTはそれを行うに十分なスペックを有していたと思われる。しかし、健常ラットでは得られていたクオリティーの画像が、病的心臓においては得ることが困難であった。その原因については引き続き検討を重ね、この問題を克服していくことを今後の課題とするものである。
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