研究概要 |
1)ヒト羊膜細胞の単離方法を樹立し、羊膜および羊膜細胞の細胞学的性質を明確にした。 羊膜上皮細胞(hAEC:human amnion epithelial cell)および羊膜間葉系細胞(hAMC:human amnion mesenchymal cell)を分離した。 hAECは、ほとんどの細胞がcytokeratin(+),vimentin(+)であり、その中にstem cell markerであるOct3/4,SSEA-4,BCRP(+),Sox2(+)の細胞が混在していた。 一方hAMCは骨髄などの間葉系幹細胞のマーカーとして報告されているCD73(+),CD105(+),CD90(+)の細胞群が存在することが明らかとなった。さらに、幹細胞の単離のために、spheroidの作成を試みた。 採取したhAECおよびhAMCをultra low attachment dissue上で培養しspheroidを作成、stem cell markerによる染色を行った。Spheroidは内因性のalkaline phosphataseに強い陽性を示した。hAECのspheroidはいずれも、Oct3/4(+), Nanog(+)、 Sox2(+)遺伝子を発現していた。このことはiPS細胞で幹細胞としての特性を獲得するために導入された遺伝子が羊膜ではすでに発現しており、羊膜が再生医療の材料として十分に意義があることを示唆する結果である。 2)マウス羊膜および羊膜細胞の細胞学的特性を検討し、羊膜細胞の多分化能検討のためにキメラ作成を試みた。 Cytokeratin(-)SSEA-1(+)alkaline phosphatase(+)c-kit(-)の細胞群に幹細胞が存在する可能性が示唆され、現在blast injection法によりキメラを作成し、羊膜細胞の多分化能を検討中である。
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