細胞外液を液相で取り込むマクロパイノサイトーシスは、自然免疫での抗原提示経路として働くだけでなく、HIVウイルスやある種の病原菌感染経路となるため、その制御機構の解明は、その治療法の開発につながる重要な課題である。本年度は、マクロパイノサイトーシスの形成と成熟過程での膜輸送を制御すると予測されるrabタンパク質について解析することにした。これまで60種類以上が同定されているRab family Gタンパク質の一つであるRab21は、主にエンドゾームに局在し、receptor-mediated endocytosis過程で膜輸送に関わることが推定されていが、マクロパイノサイトーシスへの関与は明らかにされていない。そこで我々は、マクロパイノサイトーシス過程へのRab21の関与とその機能的役割について、GFP変異体融合タンパク質発現ライブセルイメージング法により解析した。GFP変異体融合Rab21を強制発現させた上皮系A431細胞およびRAW264マクロファージ培養細胞にEGFないしM-CSFを添加してマクロパイノサイトーシスを誘起させ、Rab21の時間空間的局在の変化を動画観察すると、Rab21は、初期エンドゾームに局在するRab5とほぼ同時にマクロパイノゾームにリクルートされ、後期エンドゾーム/ライソゾームのマーカーであるLampタンパクが現れる前には消失することが分かった。また、Rab21のGTPが結合しない変異体(Rab21T33N)では、マクロパイノゾームへのリクルートが見られなかった。以上のことから、Rab21は、初期のマクロパイノゾーム機能、おそらく成熟過程での膜輸送に関与し、その局在には、GTPの結合が必須であることが示唆された。
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