研究課題/領域番号 |
19590194
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
屋代 隆 自治医科大学, 医学部, 教授 (80119859)
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研究分担者 |
菊地 元史 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60332988)
藤原 研 自治医科大学, 医学部, 助教 (00382945)
堀口 幸太郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (10409477)
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キーワード | 解剖学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 糖鎖 / 下垂体 / ホルモン / 細胞接着 |
研究概要 |
平成20年度においては、これまでの成果を踏まえ、下垂体前葉細胞の細胞間相互作用を局所ホルモン様物質によるパラクライン、細胞外基質との結合によるマトリクライン、細胞同士の結合によるジャクスタクラインの3つの概念に分類して研究を進めた。また、トランスジェニックラット(S100b-GFP)を用いて、濾胞星状細胞とホルモン産生細胞それぞれを純粋培養する技術を確立した。パラクライン調節について、腺下垂体発生におけるレチノアルデヒド脱水素酵素1,2,3それぞれの時空間的な発現パターンを解析し、レチノイン酸が局所因子として腺下垂体の初期発生・分化の調節に働いているという新しい概念を示唆することができた。また、成体の下垂体においても同酵素1型が、エストロゲンの支配下に細胞間相互作用を担っているとの仮説を立てることができた。マトリクライン調節については、in vitroでのliving観察により、腺下垂体で濾胞星状細胞のみが細胞外基質に対して特異的な親和性を示し、細胞接着性、増殖能に顕著な影響を受けることが明らかとなった。また、in vitroで濾胞星状細胞は、細胞突起を伸縮させてホルモン産生細胞を取り囲み、クラスター化させる動きを示すが、細胞外基質存在下ではこの働きはみられなくなり、替わって濾胞星状細胞同士の接着が増え、その細胞間には多くのギャップ結合が形成されることも明らかとなった。下垂体前葉細胞におけるマトリクライン調節の存在を初めて具現化することができたと考えている。ジャクスタクライン調節については、ホルモン産生細胞の分化・成熟に、細胞接着因子の変化、すなわちcadherin switchingが深く関わっていることを形態学的に示すことができた。また、カドヘリンの発現パターンを人為的に変えることによって、ホルモン合成・分泌に特徴的な変化が起こることを確認した。
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