研究課題/領域番号 |
19590195
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
亀田 芙子 北里大学, 医学部, 教授 (10032898)
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研究分担者 |
三浦 正明 北里大学, 医学部, 講師 (60276053)
新井 雄太 北里大学, 医学部, 講師 (60329026)
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キーワード | 頚動脈小体 / FRS2α^<2F / 2F>マウス / Hesl- / -マウス / Mash1- / -マウス / Hoxa3- / -マウス / 交感神経上頚神経節 / 舌咽神経頚動脈洞枝 / 第3鰓弓動脈 |
研究概要 |
頚動脈小体は血中の酸素と炭酸ガスの分圧およびpH濃度を感受する化学受容器であり、呼吸調節に関与する重要な器官である。頚動脈小体は主細胞および支持細胞から成っており、哺乳動物では舌咽神経の頚動脈洞枝(知覚性)と交感神経の枝を豊富に受けている。我々は各種の遺伝子改変マウスを用いて頚動脈小体の形成・分化の研究を続けてきた。頚動脈小体原基は野生型マウスで胎生13.5日令(E13.5)に第3鰓弓動脈壁に生じるが、Hoxa3(-/-)マウスでは第3鯉弓動脈がE11.5で退化するため、原基は全く形成されない。Mash1(-/-)マウスで頚動脈小体原基は正常に形成され、また舌咽神経・頚動脈洞枝も豊富に分布するが、交感神経節の形成が阻害されるために、上頚神経節由来の主細胞前駆細胞が欠損し、頚動脈小体は支持細胞のみから成っている。FRS2a^<2F/2F>(-/-)マウスでは、第3鰓弓動脈は正常に形成されるが、舌咽神経・頚動脈洞枝が第3鰓弓動脈壁に分布できず、頚動脈小体原基は形成されない。すなわち頚動脈小体原基形成には第3鰓弓動脈、交感神経上頚神経節および舌咽神経・頚動脈洞枝の三要素が必須であることを明らかにした。またHes1(-/-)マウスを解析し、このマウスでは交感神経上頸神経節が著しく萎縮し、上頸神経節由来の主細胞前駆細胞が減少、頚動脈小体も萎縮することを明示した。さらに神経堤細胞を生涯に亘って特異的にラベルできるWnt1-Cre/R26Rマウスの頚動脈小体個体発生を調べ、主細胞および支持細胞とも、神経堤細胞より生じることを明らかにした。Hes1は細胞分化を抑制し幹細胞の維持に係わり、細胞分化のタイミングを制御する重要な遺伝子である。我々はHes1が神経細胞のみならず頭頚部で間葉性神経堤細胞の分化をも制御していることを見出した。現在Hes1+/-マウスとWnt1-Cre/R26Rを交配し、Hes1遺伝子が神経堤細胞、交感神経節および頚動脈小体の分化に及ぼす影響を調べている。
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