新規に同定した生殖細胞特異的GPI蛋白質、 TEX101の解析から、その共役分子がvesicle associated membrane protein (VAMP)-3である新知見を得ました。 VAMPsは、特に神経細胞で、シナプス小胞上のv-SNAREとして開口分泌に重要な役割を担っている分子として報告され、 VAMP3は神経細胞以外の小胞上のテタヌス神経毒感受性v-SNAREと考えられていますが、細胞内輸送における特異的機能は不明なままです。共役分子のVAMP3は、 GPI蛋白質を細胞膜へ輸送する特異的v-SNAREの有力な候補である可能性を強く示唆しており、 GPI蛋白質の細胞膜への輸送機構を解明する手掛かりであり、今回の基盤研究により、 VAMP3、 TEX101の機能解析のためのバイオイメージング手法の開発をおこないました。蛍光蛋白質を融合させたTEX101関連分子やshRNA発現ベクターを作製し、その有効性を、 COS-7細胞を用いることにより安定して検証することが可能となりました。精子形成開始時期にあたる新生仔期の精巣を用いて、 in vivoレベルでのエレクトロポレーションによる遺伝子導入の詳細な検討をおこないました。比較的高めの低電圧(40V)による極短時間(5-10ms)のエレクトロポレーションをおこなった後、引き続き低電圧(20V)でエレクトロポレーションをおこなうことにより、生殖細胞への良好な導入に成功し、新しい精巣内へのin vivo遺伝子導入技術の開発に結びつきました。 In vivoでの導入条件を参考に、マウス精巣より分離した精巣初代培養系へ、ベクターのエレクトロポレーションによる遺伝子導入をおこないました。導入した生殖細胞の詳細なリアルタイムバイオイメージング解析が課題として残されました。成果は投稿準備中です。
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