研究概要 |
1. 研究の目的:磁化移動効果を利用した磁気共鳴医学的手法(MRSおよびMRI)によって,基礎医学研究においては「細胞・組織の生理機能発現の可視化」に迫り,一方臨床医学応用においては「組織・臓器病変の非侵襲的な超早期発見・的確な診断法の開発」に結びつけ,健康で豊かな社会の発展に少なからず寄与することにある。 2. 具体的内容:MRSとMRI,すなわち高磁場と低磁場の両装置によって得られる結果の整合性・普遍性の評価を同一試料によって行った。すなわちそのための適切なモデル系として,親水性と疎水性の両モノマーの組成・組み合わせを自由に変化させて,高分子ゲル内の含水量を適切に調整した鎖状合成高分子ゲル試料を用いて測定した。その結果,両装置による結果の整合性に問題はなかった。また磁化移動効果には結合水,とくに束縛水の存在が重要であることが分かった。 3. 意義:高磁場NMR装置で得られた研究成果が,臨床現場で使用されている低磁場装置(1.5テスラ)の臨床機でも応用可能であることが分かった。 4. 重要性:生体高分子,とくに蛋白質と水分子との相互作用は通常の細胞機能の発現に重要な役割をしているが,今回の結果から,結合程度の弱い結合水の一種である束縛水の存在が重要であることが分かった。
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