研究課題
過分極で活性化される陽イオンチャネル(HCNチャネル)は、心臓のペースメーカー細胞で1980年に初めて記述された。中枢神経系をはじめ生体の様々な場所に発現し、ペースメーカーチャネルとしての役割や細胞の興奮性の調節など生理学的に重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた。HCNチャネルは、電位依存性カリウムチャネル(Kvチャネル)と共通の6回膜貫通領域をもつが、特徴的な性質がある。過分極により活性化する。Kvチャネルに比べ活性化速度が極めて遅い。これらの特徴を引き起こす分子レベルでの構造的基盤を明らかにするために研究を行った。本研究代表者はサブタイプ間の活性化速度の違いが、主に第一膜貫通領域(S1)の違いに因ることを明らかとし、S1に点変異を導入することで、全く電位依存性のない変異体をつくることに成功した。このことは、S1が電位センサーの可動部であるS4と相互作用をして電位センサーとして働いていることを示唆している。本研究では、S1とS4の両者に同時に点変異(システイン残基)を導入し、その影響を調べた。S1領域の139番目にシステイン残基を導入しS4領域の253番目にシステイン残基を導入すると最初は過分極に対し電流応答を示さなかった。しかしながら、還元剤であるDTTで処理すると電流応答が認められるようになった。このことから、S1とS4のシステイン残基同士がジスルフィド結合を作り、電流応答を示さなかったものが、DTTでジスルフィド結合が切断され、電流応答を示すようになったと考えられ、139番目と253番目のアミノ酸残基が物理的に近い位置にあることを示唆していると考えられた。今後、さらに多数の点変異を導入し、S1とS4との位置関係を明らかにし電位センサーの動きを明らかにする。
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