研究概要 |
本研究は音受容に重要な役割を果たしている、内リンパ腔電位(endocochlear potential, EP)の発生機序を考察すると共にその調節機構を明らかにし、虚血性の急性末梢性感音難聴の治療に役立たせることを目的とする。 1.L型Ca^<2+>チャネル阻害剤であるニフェジピン投与により、無呼吸負荷によるEP減少が抑制された(Nimura, et. al.,J Physiol Sci 57:15-22,2007)。さらに、この薬剤のdose-dependent curveを求め、L型Ca^<2+>チャネルの局在と辺縁細胞内Ca^<2+>のEP調節に関する論文を発表した(Inui, et. al.,J Physiol Sci 57:287-298,2007)。 2.内リンパ液のCa^<2+>濃度が無酸素負荷により急激に上昇することを見出していたが、それが内リンパ液に面している細胞群のtight junctionの変化により起こっている可能性を指摘した(Inui, et. al.,J Physiol Sci 57:287-298,2007)。 3.L型Ca^<2+>チャネル阻害剤であるニフェジピン投与だけでは、急性虚血性のEPの低下は完全に抑制されず、他のCa2+透過性チャネル(TRPチャネルなど)の関与の可能性が考えられる(Inui, et. al.,J Physiol Sci 57:287-298,2007)。 以上、本年度はL-型Ca^<2+>チャネルを中心に研究を進めたが、TRPチャネルの関与についても血管状細胞のみならず,他の上皮細胞でも検討を進めている(Shimamoto, et. al.,Am J Physiol.,293,G324-837,2007。
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