研究課題
基盤研究(C)
ヒト生物時計の機能的構造を明らかにする目的で、健常成人男子を外界の昼夜変化から隔離した住居型実験室において生活させ、睡眠覚醒リズムと血中メラトニンリズムの内的位相関係を解析して、以下の研究成果を得た。光の影響を排した低照度環境下で、覚醒時間帯を8時間前進させ4日間固定する強制的スケジュール、および引き続き時刻の手がかりを除いたフリーラン条件(脱同調パラダイム)を荷すと、睡眠覚醒リズムは位相前進して新しいスケジュールに再同調したが、血中メラトニンリズムは位相後退し、2つのリズムに内的脱同調が生じた。スケジュールシフト時の覚醒期の前半と中頃に4時間の身体運動を負荷すると、睡眠覚醒リズムの再同調は有意に促進し、この効果はフリーラン時にも持続した。一方、身体運動の効果は血中メラトニンリズム位相には認められなかった。また、スケジュールシフト時の覚醒期に2時間間隔で3回、1回あたり2時間の身体運動を負荷した場合、睡眠覚醒リズムに対する効果は認められなかった。また、血中メラトニンリズム位相にも効果はなかった。以上の結果から、身体運動は睡眠覚醒リズムに作用して、8時間位相前進したスケジュールへの再同調を促進するが、血中メラトニンリズムには影響を与えず、睡眠覚醒リズムに特異的な同調因子と考えられる。また、身体運動の効果には位相依存性が存在することが示唆された。
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Sleep Biol. Rhythm 6
ページ: 84-90
日本薬理学会雑誌 129
ページ: 400-403