実験1 Wistar-Kyoto系のプロラクチン産生細胞では、Wistar系のプロラクチン産生細胞に比較して、1から30ng/mlのIGF-1に対する増殖促進反応性が減弱していた。 実験2 IGF-1以外の成長因子に対する増殖反応性がWistar-Kyoto系では変化している可能性が考えられるので、プロラクチン産生細胞の増殖に影響を及ぼすことが知られている増殖刺激に関して用量反応性を調べた。TGFβ3はプロラクチン産生細胞の増殖を抑制したが、この抑制作用に関して両系統間で違いは見られなかった。また、fetal calf serumはプロラクチン産生細胞の増殖を促進したが、この促進作用に関して両系統間で違いは見られなかった。さらに、これらの増殖刺激の作用に対するエストロジェンの修飾作用に関しても両者の系統差は認められなかった。 実験3 ドーパミンはプロラクチン産生細胞の増殖に関する抑制性の視床下部調節因子として知られているので、ドーパミンに対する増殖反応性の系統差、およびドーパミン作用に対するエストロジェンの修飾作用に関する系統差を調べた。ドーパミン作動薬であるbromocriptineの単独作用およびエストロジェンによる増殖抑制の減弱に関して、両者の系統差は認められなかった。 以上の実験結果より、Wistar-Kyoto系のプロラクチン産生細胞のエストロジェンに対する増殖反応性の低下の原因としてIGF-1に対する増殖促進反応性が考えられる。
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