研究概要 |
平成20年度は、ゲラニルゲラノイン酸(GGA)の抗腫瘍作用機構のメカニズムの1つとして、肝癌培養細胞に対する細胞死誘導作用のメカニズムの解析を行い、従来考えられてきたカスパーゼ依存性のアポトーシスとは異なり、カスパーゼ非依存性のミトコンドリア依存性のオートファジーを伴う細胞死であることを明らかにした。 1 GGA抵抗性クローンの遺伝子工学的解析 ヒト全ゲノム由来shRNA発現ベクターライブラリーをトランスフェクトし、GGA(30μM)処理に対する抵抗性を示すクローンを、Cell-Titer Glo Assayによりスクリーニングした。その結果、予備的スクリーニングで、100種類程度のクローンが得られており、インサートを挟むM13プライマーを用いた9°Nm DNA polymeraseによるPCRにより、90%以上のクローンにおいてBamH-I部位を含むループを挟んだ構築したインサートの存在が確認された。得られたクローンの内、B-1-1クローンのインサート配列は、BLAST検索の結果、ATG4, ATG7, TG11などオートファジー関連遺伝子の一部と完全な相同性を示すものであった。 2 HuH-7細胞におけるGGA誘導性オートファジーの観察 上記の実験から、オートファジーがGGA誘導性細胞死に関与していることが示唆されたので、GFP-LC3を導入した安定細胞株HuH-7/LC3を作製し、GGAによるLC3の細胞内局在を観察した。その結果、GGA添加後1時間以内にGFP蛍光のドットが観察され、翌日まで集積した。また、LC3のウェスタンブロットを行うと、膜結合型のLC3-IIが増加した。
|