酸素濃度が低い環境にヒトが長時間曝露された場合、脳や体の循環調節の機能が、どのように変化するのか検討した。低酸素テント内で酸素濃度を、飛行中の航空機内や2400m~2600mの高地に相当する程度に下げ、約5時間の曝露実験を健康な成人に行い、脳の血流速度や、心電図、血圧などを記録した。その結果、曝露2時間後より呼吸量が増加し血液の二酸化炭素濃度が低下、その影響で脳の血流速度も低下した。また、脳の血流は、曝露直後から変動が増加し、これを調節する能力の指標も悪化した。この結果は、この程度の酸素濃度の環境においても、脳の血流量が低下した上、調節力も悪化し、脳への酸素供給が不安定になる可能性を示している。
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