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2008 年度 実績報告書

脳血管障害による発熱の分子・細胞メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19590234
研究機関大阪工業大学

研究代表者

松村 潔  大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (10157349)

研究分担者 小林 茂夫  京都大学, 情報学研究科, 教授 (40124797)
キーワード脳出血 / コラゲナーゼ / 発熱 / プロスタグランジン / 視索前野 / ラット / シクロオキシゲナーゼ
研究概要

脳出血時に発熱が起こることは臨床的によく知られている。しかし、そのメカニズムは不明であった。初年度では、そのメカニズムを解析するための動物モデルを確立した。そして感染や炎症による発熱と同様に、プロスタグランジン系が関与していることを明らかにした。本年度は脳出血からプロスタグランジン産生にいたる分子、細胞メカニズムを明らかにする。
1. 脳内プロスタグランジンE2(PGE2)の上昇:コラゲナーゼ脳内投与4時間後、および14時間後に視索前野組織、および脳脊髄液を採取し、PGE2含有量を測定した。PGE2量は生理食塩水投与群と比べて有意に高値であった。
2. シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)の関与:コラゲナーゼ脳内投与と同時に、選択的シクロオキシゲナーゼー2阻害剤(NS398、10mg/kg)を腹腔内に投与した場合、3時間後から始まる体温上昇は抑制されなかった。一方、コラゲナーゼ脳内投与10時間後にNS398を投与した場合、体温は低下した。またNS398の10時間後投与により視索前野組織および脳脊髄液中のPGE2量は有意に低下した。
3. COX-2発現細胞の同定:コラゲナーゼ投与14時間後の脳ではCOX-2が血管内皮細胞に主として発現していることが、2重免疫組織化学法により明らかとなった。
4. 部位特異性:線条体にコラゲナーゼを投与した場合、出血は起こったが。体温上昇は起こらなかった。
以上の結果から、(1)脳出血による発熱は視索前野付近でのPGE2上昇が原因となる、(2)脳出血の初期の発熱ではCOX-1が、後期の発熱では血管内皮に誘導されたCOX-2がPGE2合成に関与していることが明らかとなった。今後の課題として、脳出血初期にPGE2を産生する細胞を同定すること、脳出血がCOX-2を誘導する機構を明らかにすること、が挙げられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Intracisternal administration of transforming growth factor-beta evokes fever through the induction of cyclooxygenase-2 in brain endothelial cells2008

    • 著者名/発表者名
      Matsumura S, Shibakusa T, Fujikawa T, Yamada H, Matsumura K, Inoue K, Fushiki T
    • 雑誌名

      Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol. 294

      ページ: R266-75

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Activation of transient receptor potential ankyrin 1 by hydrogen peroxide.2008

    • 著者名/発表者名
      Sawada Y, Hosokawa H, Matsumura K, Kobayashi S
    • 雑誌名

      Eur J Neurosci. 27

      ページ: 1131-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 疲労の神経回路と扁桃体2008

    • 著者名/発表者名
      松村潔
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience 26

      ページ: 416-418

  • [学会発表] Imaging of lactate utilization in the brain in vitro and in vivo2008

    • 著者名/発表者名
      松村潔
    • 学会等名
      Interanational Conference on Fatigue Science 2008
    • 発表場所
      沖縄名護市
    • 年月日
      2008-09-04
  • [学会発表] Imaging of lactate utilization in the brain in vitro and in vivo2008

    • 著者名/発表者名
      堀あいこ, 山本知子, 松村潔, 細川浩, 小林茂夫
    • 学会等名
      Neuroscience 2008
    • 発表場所
      東京都千代田区
    • 年月日
      2008-07-11

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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