研究課題
心房細動のように心房筋細胞が高頻度で興奮した際、活動電位が徐々に変化し電気生理学的特性が変化し、いわゆる電気的リモデリングが起きるとされているが、その成立にATP感受性K^+(K_<ATP>)、チャネルが関与するか否かは十分明らかにされていない。そこで我々は、心筋細胞膜K_<ATP>チャネル機能が欠失しているKir6.2ノックアウト(KO)マウス摘出灌流心房筋標本を用い電気生理学的検討を行った。野生型(WT)およびKir6.2KOマウスのLangendorff灌流心に微小電極法を適用し、15Hzの高頻度電気刺激を5時間維持しながら左心房より活動電位を記録し、90%再分極時点での心房活動電位持続時間(APD_<90>)について解析を行った。さらにK_<ATP>チャネル阻害薬やL型Ca^<2+>チャネル括抗薬存在下の活動電位についても検討を行った。5時間高頻度刺激負荷前後の心房筋イオンチャネルmRNAについてPCR法を用いて検討した。高頻度刺激下ではWTマウス心房筋標本のAPD90はほとんど変化が見られなかったが、Kir6.2KOマウス心房筋標本では一過性に延長した後、回復した。K_<ATP>チャネル阻害薬処置のWTマウス心房筋標本でもAPD_<90>は延長した。またL型Ca^<2+>チャネル括抗薬で処置するとWTおよびKir6.2KOマウス心房筋標本で観察されたAPD_<90>変化は消失した。高頻度刺激によってCav1.2のmRNAは変化しなかったが、Kv1.5のmRNAはWTおよびKir6.2KOマウス心房筋の両者において減少した。心房頻拍時のK_<ATP>チャネルの活性化は活動電位持続時間を修飾して細胞内Ca^<2+>過負荷を調節し、その電気生理学的特性変化に影響を与える可能性が示唆された。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
治療学 43
ページ: 82-84
J. Physiol 586
ページ: 2961-2973
J. Pharmacol. Exp. Ther., 326
ページ: 100-104
ページ: 2767-2778
Medical practice M. P. 25
ページ: 1017-1018
日薬理誌 131
ページ: 446-451
分子心血管病 9
ページ: 19-25