研究課題/領域番号 |
19590250
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
木村 正司 香川大学, 医学部, 准教授 (30253264)
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研究分担者 |
西山 成 香川大学, 医学部, 教授 (10325334)
大森 浩二 香川大学, 医学部, 准教授 (00263913)
張 國興 香川大学, 医学部, 助教授 (90444728)
宮武 明 香川大学, 総合生命科学実験センター, 准教授 (80211598)
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キーワード | 一酸化窒素合成酵素 / 活性酸素 / MAPキナーゼ / ミトコンドリア / 酸化ストレス / アンジオテンシン / 血管平滑筋 |
研究概要 |
本年度は、(1)ラット生体及び(2)ラット血管平滑筋細胞(RVSMC)を対象として一酸化窒素(NO)合成阻害薬を用いることで、循環負荷時の心血管系組織における活性酸素依存性細胞内シグナル伝達機構に関わるNOの働きを検討した。 (1)ラット生体を用いた急性及び慢性実験 昇圧量のLNAMEを急性静脈内投与すると、大動脈におけるERK1/2、p38、JNKなどのMAPキナーゼファミリーの活性化を認めた。またこれらは、アンジオテンシンによる急性投与によるMAPキナーゼ活性化に見られるような活性酸素依存性は高度ではなかった。一方で、LNAMEを1週間飲水させたラット大動脈ではでMAPキナーゼリン酸化は正常に復すが、アンジオテンシンによって見られる活性化はほぼ完全に抑制されていた。これらのことから、NOは血管におけ活性酸素依存性MAPキナーゼ活性化に対して二面性効果を有していることが分かった。重要な知見は、NOは活性酸素を消去することで活性酸素依存性の細胞内シグナル伝達を抑制性に調整するだけでなく、活性酸素依存性シグナル伝達そのものに組み込まれている可能性を示唆するものである。 (2)RVSMCを用いたアンジオテンシンMAPキナーゼ活性化経路 さらに詳細にNOの活性酸素依存性細胞内シグナル伝達への関わりを検討するために、RVSMCで異なる3種の一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬(LNAME,LNNA,LNA)の前処置によって、用量依存性にアンギオテンシンにより惹起されるMAPキナーゼ活性化への影響を検討した。すべてのNOS阻害薬はアンギオテンシンによるMAPキナーゼ活性化を抑制するほか、アンギオテンシン誘発活性酸素産生もLNAMEの前処置により激減することを確認した。このRVSMCを用いた検討を合わせて、NOは活性酸素産生系に重要な役割を担い、細胞内情報伝達系を構築していることが示唆された。 次年度は、これらの結果を受け、細胞内活性酸素産生系を担うNOSサブタイプの検索をおこなうものとする。
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