研究課題/領域番号 |
19590251
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
柿沼 由彦 高知大学, 医学部, 准教授 (60265866)
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研究分担者 |
佐藤 隆幸 高知大学, 医学部, 教授 (90205930)
KATARE RAJESH 高知大学, 医学部, 助教 (20380313)
有川 幹彦 高知大学, 医学部, 助教 (20432817)
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キーワード | 血管新生 / アセチルコリン / VEGF |
研究概要 |
三次元血管内皮細胞培養系を用いたin vitro実験によって、tube formationの促進の有無を指標に検討したところ、AChは血管新生促進効果を持つことが確認された。この効果は、ニコチン受容体遮断薬およびムスカリニック受容体遮断薬いずれによっても、一部抑制されたことから、ニコチンおよびムスカリン受容体の両者が関与していることが示唆された。 AChの血管新生促進効果は、非低酸素誘導経路におけるhypoxia-inducible factor (HIF)-1αを介しvascular endothelial growth factor (VEGF)の発現誘導によることが明らかとなった。AChのこの効果と同様な作用は、acetylcholinesterase inhibitorであるdonepezil(抗アルツハイマー病薬)においても認められ、同様にHIF-1α、VEGFの血管内皮細胞における蛋白発現を増加させた。 in vitroのみならずin vivoにおいて、正常マウス下肢虚血モデルを用いて、このdonepezilがAChにかわって(AChの静脈内直接投与は、重篤な副作用のため実施困難)血管新生促進作用があるか否かを検討したところ、明らかに血管新生促進効果が形態学的にも(虚血側での血管様構造物の数の増加)、機能的にも(虚血による下肢筋萎縮の抑制や組織還流の回復)確認された。以上より、コリン作動系には血管新生をさらに促進させる効果があることが明らかとなった。
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