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2008 年度 実績報告書

分子シャペロンによる発癌原因分子チロシンキナーゼのキナーゼ領域依存性分解制御

研究課題

研究課題/領域番号 19590259
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

塚原 富士子  東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40119996)

キーワード癌 / チロシンキナーゼ / BCR-ABL / 分子シャペロン / 蛋白質分解
研究概要

慢性骨髄性白血病発癌原因分子BCR/ABLは、恒常的に活性化された非受容体型チロシンキナーゼであり、細胞の増殖を促進、アポトーシスを抑制する。本研究では、分子シャペロンによるBCR/ABLチロシンキナーゼのキナーゼ領域依存性分解制御について検討し、以下の結果を得た。
1.構成型熱ショックタンパク質(Hsc)70は、BCR/ABLタンパク質合成直後にフォールディングを促進してBCR/ABLを安定化する。さらに熱ショックタンパク質(Hsp)90-cdc37シャペロン系が、BCR/ABLタンパク質のリン酸化に関与し、BCR/ABLキナーゼの成熟を促進する。
2.ユビキチンリガーゼであるc-Cblは、成熟したBCR/ABLを認識し、ユビキチン化を促進してBCR/ABLタンパク質をリソソームやプロテアソームで分解する。
3.Hsp90阻害薬は、Hsp90-cdc37シャペロン系を阻害することにより、BCR/ABLタンパク質のキナーゼ成熟過程を阻害して分解を促進する。Hsp90阻害薬は、イマチニブ耐性変異体の分解も促進する。
4.ユビキチンリガーゼであるCHIPは、未成熟なBCR/ABLタンパク質を認識して、ユビキチン化し、プロテアソームでの分解を促進する。
5.イマチニブは、BCR/ABLキナーゼ領域に結合することにより、Hsp90-cdc37依存性のBCR-ABL蛋白成熟過程を阻害し、蛋白質を安定化する。イマチニブによる蛋白質の安定化は、薬剤耐性機序の一つであることが示唆される。
以上の成果は、発癌分子チロシンキナーゼの分解を促進する薬剤(Hsp90阻害薬等)の作用機序を理解する上で重要な意義を持つと考える。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Regulation of stabilization and degradation of chronic myelogenous leukemia oncoprotein, BCR-ABL by molecular chaperone2009

    • 著者名/発表者名
      Fujiko Tsukahara
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences 109

      ページ: 121

    • 査読あり
  • [雑誌論文] イマチニブは慢性骨髄性白血病原因分子BCR-ABLのHsp90-cdc37シャペロン依存性蛋白質成熟過程を阻害する2009

    • 著者名/発表者名
      塚原富士子
    • 雑誌名

      くすりとからだ 133

      ページ: 18

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hsc70 regulates the nuclear export but not the import of influenza viral RNP : A possible target for the development of anti-influenza virus drugs.2008

    • 著者名/発表者名
      Ken Watanabe
    • 雑誌名

      Drug Discov Ther 2

      ページ: 77-84

    • 査読あり
  • [学会発表] 分子シャペロンによる慢性骨髄性白血病原因分子BCR-ABLの安定化と分解制御2009

    • 著者名/発表者名
      塚原富士子, 丸義朗
    • 学会等名
      第82回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2009-03-18
  • [学会発表] イマチニブはコシャペロンcdc37依存性BCR-ABLの成熟過程を阻害する2008

    • 著者名/発表者名
      塚原富士子, 丸義朗
    • 学会等名
      第67回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2008-10-29
  • [学会発表] イマチニブは慢性骨髄性白血病原因分子BCR-ABLのHsp90-cdc37シャペロン依存性蛋白質成熟過程を阻害する2008

    • 著者名/発表者名
      塚原富士子, 丸義朗
    • 学会等名
      第119回日本薬理学会関東部会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-10-04

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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