内因性不飽和脂肪酸受容体発現細胞を利用して、不飽和脂肪酸受容体の薬理学的検討を今年度は重点的に行った。 近年、メタボリックシンドロームや糖尿病治療の関連受容体と興味が持たれ各種薬理学的ツールが本課題開始後に新規開発されるようになってきた。これら新規不飽和脂肪酸受容体刺激薬を用い、内因性受容体発現細胞であるmin6細胞やSTC1細胞並びに受容体安定発現細胞を用い、カルシウム反応性を指標に受容体機能の薬理学的検討を現在遂行中である。これら薬理学的検討の成果として、前述の新規リガンド以外に、耐糖能改善薬であるPPARγ受容体刺激薬の一部が交差反応を示すことを見いだし、京都大学のグループとMolecular Pharmacologyに報告を行った。内因性リガンドである不飽和脂肪酸は本研究テーマの三量体G蛋白結合受容体のみならず、他の受容体のリガンドとなることが知られており代表的な受容体としてPPARγ受容体がある。PPARγ受容体刺激薬は現在臨床的に糖尿病治療薬として利用されているが、副作用を含め多彩な作用が知られており、現在上奏されている薬物間でも作用に差があることが知られていた。本研究の成果は、今後より子細な検討が必要であるが、メタボリックシンドロームや糖尿病の治療におけるPPARγ受容体刺激薬の副作用発現のメカニズムのみならず薬物選択の指標並びに治療法選択に有益な情報を提供する物と考えている。 一方のテーマであるミトコンドリア機能可視化については、光学系の高度化並び安定に測定をするための検討を現在安定発現細胞を利用して遂行中である。
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