研究概要 |
1.Cyp26の発現様式の解析 レチノイン酸代謝酵素Cyp26は3種類(Cyp26A1,B1,C1)存在し,これら3種類の酵素は全てレチノイン酸により発現が誘導されることが報告されている。したがって,まず3種類の酵素のうちどれがT細胞で発現しているかを調べたξそめ結果,レチノイン酸存在下で活性化されたCD4陽性T細胞でCyp26b1遺伝子の発現が誘導されたが,その他のCyp26遺伝子の発現は検出されなかった。さらに,生体内でのCyp26遺伝子の発現を調べるため,腸間膜リンパ節,パイエル板,脾臓からCD4陽性細胞とCD8陽性細胞を単離し,遺伝子の発現を解析した。その結果,レチノイン酸が構成的に存在する腸間膜リンパ節やバイエル板由来のCD4またはCD8陽性細胞では,Cyp26b1遺伝子の発現が検出されたのに対し,脾臓由来)細胞では,Cyp26b1遺伝子の発現は検出されなかった。また,いずれの細胞からもCyp26a1やCyp26c1遺伝子の発現は検出されなかった。以上の結果から,生体内においてレチノイン酸依存的にT細胞でCyp26b1の発現が誘導されていることが示唆された。 2.Cyp26b1とホーミング受容体の発現制御の関連の解析 レチノイン酸代謝酵素であるCyp26b1の発現が,小腸ホーミング特異性の賦与にあたえる影響を検討するため,細胞内のCyp26b1遺伝子の発現を変化させ,それによってホーミング受容体の発現がいかに変化するかを調べた。まず,マウスから単離されたナイーブT細胞にCyp26b1遺伝子を過剰発現させる発現ベクターを導入し,その細胞をレチノイン酸存在下で活性化させ,ホーミング受容体CCR9の発現を観察した。その結果,Cyp26b1を過剰発現しているT細胞では,通常に比べCCR9の発現が有為に低下した。
|