研究概要 |
糖尿病に伴う神経因性疹痛の仕組みを明らかにする目的で,糖尿病モデル動物,坐骨神経部分結紮モデル動物を作製した。さらに脳出血による視床痛モデル動物の作製に着手し,一部完成した。 (1)末梢神経障害の発症の仕組みを脊髄のグリア細胞に注目し,免疫組織学的に調べた。脊髄のミクログリアとアストロサイトは坐骨神経部分結紮マウスの結紮側で著しく増加していた。この増加は,ミクログリア活性抑制剤のミノサイクリンで抑制された。一方,糖尿病モデル動物では,対照群に比べグリア細胞が減少していた。これらの結果は,末梢神経障害の発症に脊髄ミクログリアとアストロサイトが関与していることを示唆した。 (2)薬理学的研究から,坐骨神経部分結紮においての神経因性痙痛に,上位中枢でのNMDA受容体とGABAB受容体が関与を解明できた。 これらの結果を2008年薬理学会と薬学会総会で報告した。 (3)肝インスリン抵抗性の研究では,本年度は,脂肪肝の原因因子として確証を得るために,fsp27をアデノウイルスベクターによりin vivo肝臓に強制発現させ,fsp27の脂質蓄積能を確かめた。この結果,Adfsp27を導入したマウスの肝臓は,コントロールアデノウイルス(AdLacZ)を導入したマウス肝に比べ有意なトリグリセリドレベルの上昇が認められた。さらに,両肝臓に対して病理学的な組織染色を行ったところ,Adfsp27が導入されたマウスの肝臓は細胞内に脂肪滴による空砲が増加していた。よって,fsp27遺伝子産物は脂肪肝形成の原因因子の一つであることが強く示唆された。
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