研究課題
本研究費最終年度なので、臨床への適用を目標に研究を進めた。(1)糖尿病などによる神経因性疼痛に、抗生物質のミノサイクリンが有効であることを明らかにした。その作用機序として、神経損傷により、炎症性サイトカインが遊離され、ミクログリアを活性化する。その際に、Chemotactic Cytokine Ligand (CCL)が産生され、CCLはグルタミン酸を介して、痛覚路の2次ニュウロンを刺激することが明らかにされた。ミノサイクリンは、CCL-1の産生を抑制して、抗アロディニア効果を発現すると考えられる。今後詳細を検討することにより、ミノサイクリンの疼痛における臨床応用の可能性が期待できる。(2)ヒトの痛みを考慮して、脳での痛みの経路とされている帯状回の役割を解明し、以下の結果を得た。痛みのシグナルは、内側脊髄視床路から帯状回に至る。帯状回では、ムスカリンM1受容体が抑制性の介在性GABA神経に働き、放出されたGABAが延髄吻腹内側部(RVN)に投射する興奮性グルタミン酸神経を抑制する。その結果、下行性痛覚路を抑制する。(3)2型糖尿病の病態解明は、糖尿病による神経因性疼痛に不可欠である。本年は、私たちが見出した肝インスリン抵抗性の悪化に対する候補遺伝子、fsp27について検討を加えた。その結果、fsp27は2型糖尿病モデルの肝臓において脂質の蓄積をうながし、間接的にインスリン抵抗性を悪化している可能性を明らかにした。
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