研究概要 |
RBタンパク質(pRB)はE2F依存性転写活性の阻害作用によって細胞周期G1ーS進行の抑制に働くのみならず,DNA複製制御因子との結合を介する複製反応阻害や,DNAダメージで誘導される細胞周期停止にも関与することが分かってきた。またDNAメチル化を介したエピジェネティックな遺伝子発現制御に関わるjumonjiはpRBと結合する。これらはpRBとクロマチン関連因子との相互作用が,適切な細胞機能の維持に重要であることを意味している。我々はpRBおよびpRB結合蛋白質のユビキチン様修飾とクロマチン制御との関連に注目し,今年度は次のような研究結果を得た。1)pRBのユビキチンリガーゼであるMdm2はjumonjiのユビキチン化を著しく亢進した。しかしMdm2によるユビキチン化はjumonjiの半減期には影響を与えず,Mdm2はjumonjiの安定性以外の機能制御に関わっている可能性が考えられた。2)細胞での異所性発現系において,pRBはNedd8化を受けることが分かった。また,細胞にNedd8を一過性に過剰発現させるとpRBとE2Fの結合が阻害された。この結果は,pRBのE2Fに対する阻害作用がNedd8化修飾によって抑制される可能性を示している。
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