研究課題/領域番号 |
19590281
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
冨田 修平 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00263898)
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研究分担者 |
玉置 俊晃 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80179879)
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キーワード | 血管内皮細胞 / 低酸素応答 / 炎症反応 / 転写因子 / Hypoxia Inducible Factor / 肺性高血圧 / 血管平滑筋細胞 / 炎症細胞 |
研究概要 |
生体が低酸素環境に曝されたときには、生体の主要な酸素供給経路に位置する血管内皮細胞(EC)は、様々な病態疾患に伴う低酸素応答の仲介役的存在であると考えられる。これまでにこれらのECに観られる様々な病態解析は行われてきたが、低酸素環境がどのような制御メカニズムを介してこれら病態を形成する分子機構にリンクしているのかは明らかでない。その理由のひとつには、生体内低酸素環境にあるECを含め各細胞集団の低酸素応答の多様性にあるものと考えられる。そこで、我々は、独自に開発したEC特異的ARNT遺伝子欠失マウスを利用することにより、ECに限局した低酸素不応答性環境で炎症病態モデルを構築し、生体内環境でしかもECに限局した低酸素応答を評価することを試みた。本変異マウスでは、低酸素シグナルの要の転写因子であるHIF-1とHIF-2の両シグナルの不活化を目的にそれぞれのalphaサブユニットと共有会合するARNT分子をEC特異的に欠失させた。申請者は、上記マウスを利用した肺高血圧症モデルを作製し、肺動脈の血管リモデリングの様子を解析した。その結果、ECのARNT欠失は、肺性高血圧症に伴う血管リモデリングを起こしにくいことが分かった。本変異マウスで病態の軽減は、病態後期の血管内皮細胞、血管平滑筋および間質組織でのエンドセリンー1の発現低下で確認された。これらの結果より血管内皮細胞のARNT分子を介した情報伝達が肺高血圧症発症に関与していることが示唆された。
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