オリゴデンドロサイト前駆体様細胞であるラットCG-4細胞におけるミッドカイン受容体の発現について調べた。遺伝子特異的なプライマーを作製し、RT-PCR法を行ったところ、CG-4細胞ではLRP1、PTP zeta、syndecan-3、ALKが発現していることがわかった。また、蛍光抗体法でα6およびβ1インテグリンがCG-4細胞の表面に発現していることを観察できた。これらの分子と、この細胞においてミッドカインの受容体として既に同定している、ニューログリカンCの関連性を調べるため、細胞のデタージェント抽出液をニューログリカンCに対する抗体で免疫沈降を行い、共沈する分子について抗インテグリンα6抗体、抗インテグリンβ1抗体、抗PTP zeta抗体などでウェスタンブロッティングを行った。しかしながら発現量が少ないために、明らかな結果を得ることができなかった。そこで、HEK293T細胞を用いた強制発現系でニューログリカンCと他の受容体成分との相互作用を調べた。強制発現させたインテグリンα4-flag、α6-HA、β1-HAのそれぞれがニューログリカンC-IIIと共沈することがわかった。さらにLRPと類似するApoER2-HAもニューログリカンC-IIIと共沈した。これらの結果は、ニューログリカンCも受容体複合体の中で作用していることを示している。いっぽう、マウス胎仔脳のミッドカイン結合タンパク質を解析した結果、ニューロピリン-1が新たな受容体成分である可能性が浮かび上がった。
|