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2008 年度 実績報告書

細胞系列決定に必須な転写因子GATA3とFACT複合体、RNAポリメラーゼの関係

研究課題

研究課題/領域番号 19590296
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

宮武 昌一郎  (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (30239420)

研究分担者 青木 和久  (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00280785)
キーワードFACT / GATA3 / DNAメチル化 / Th1 / Th2 / DNAメチルトランスフェラーゼ
研究概要

FACT複合体を構成するSPT16およびSSRP1に関して、293細胞などの培養細胞に単独で強制発現させることはできず、両者を発現させることが必要であった。強制発現させたFACT複合体の多くは、核より細胞質に多く局在した。興味深い点は、GATA3を同時に発現させると、GATA3はFACT複合体と結合し、3者は核に多く局在した。このことから、GATA3がFACT複合体を核に移行させる機能を持つことが示唆された。さらに染色体上のGATA3が結合する領域にFACT複合体をリクルートしているのか、クロマチン免疫沈降法を用いて検討中である。T細胞活性化とTh2分化誘導にともない、RNAポリメラーゼが、染色体上にリクルートされるが、GATA3結合領域近傍に強く結合していることを示唆する結果を得た。FACT複合体とRNAポリメラーゼを染色体上にリクルートし、non-coding RNAの転写を誘導することに、GATA3が関与する可能性が考えられた。
T細胞活性化とTh2分化誘導にともない、Th2サイトカイン遣伝子をコードする領域の脱メチル化が誘導される。末梢T細胞に比べて、胸腺で成熟し、まだ末梢に移動していない時点のT細胞では、脱メチル化がより早く、より強く誘導されることを見出した。この結果として、胸腺由来T細胞のサイトカイン産生量は末梢T細胞に比べて高いこと、また本来、産生が抑制されるサイトカイン、たとえばTh2細胞のIFNgの産生が亢進し、サイトカイン産生パターンの特異性が損なわれることを見出した。このような胸腺由来T細胞の特徴は、新生児T細胞の特徴と類似しており、成獣においては、T細胞が胸腺から末梢へ移行する際の分化過程として、サイトカイン遺伝子発現能の抑制があることを明らかにした。胸腺由来T細胞の脱メチル化は、刺激後急速に誘導される。細胞分裂をおこす前の細胞群を分離し、脱メチル化の状態を解析したところ、すでに誘導されており、DNA複製に依存しない脱メチル化の誘導であることが示された。胸腺由来T細胞では、Th2サイトカイン遺伝子領域に、メチルシトシン結合タンパク質MBD2の結合が見られ、脱メチル化の誘導において、MBD2が関与する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Regulation of DNA demethylation during maturation of CD4+ naive T cells by the conserved non-coding sequence CNS-12009

    • 著者名/発表者名
      Aoki, K., Sato, N., Yamaguchi, A., Kaminuma, O., Hosozawa, T., Miyatake, S
    • 雑誌名

      The Journal of Immunology (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Differential Contribution of NFATc2 and NFATc1 to TNF-α Gene Expression in T Cells2008

    • 著者名/発表者名
      Kaminuma O, Kitamura F, Kitamura N, Hiroi T, Miyoshi H, Miyawaki A, Miyatake S
    • 雑誌名

      The Journal of Immunology 180

      ページ: 1319-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cyclic AMP-induced chromatin changes support the NFATc-mediated recruitment of GATA-3 to the interleukin 5 promoter2008

    • 著者名/発表者名
      Klein-Hessling, S., Bopp, T., Jha, M. K., Schmidt, A., Miyatake, S., Schmitt, E. Serfling, E
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry 283

      ページ: 31030-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文]2008

    • 著者名/発表者名
      青木和久, 宮武昌一郎
    • 雑誌名

      Th2分化制御メカニズム細胞工学(秀潤社)

      ページ: 27:126-131

  • [雑誌論文]2008

    • 著者名/発表者名
      青木和久, 宮武昌一郎
    • 雑誌名

      サイトカイン遺伝子におけるクロマチン制御機構 臨床免疫・アレルギー科(科学評論社)

      ページ: 49:195-202

  • [学会発表] 胸腺と末梢のCD4陽性T細胞におけるサイトカイン発現パターンの差異はDNA脱メチル化制御の差異による2008

    • 著者名/発表者名
      青木和久、宮武昌一郎
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20081209-12
  • [学会発表] Different cytokine expression and DNA demethylation profiles between CD4 single positive thymocytes and peripheral naive T cells2008

    • 著者名/発表者名
      青木和久, 宮武昌一郎
    • 学会等名
      The 38th Annual Meeting of the Japanese Society for Immunology
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20081201-20081203
  • [学会発表] T細胞サイトカイン産生における脱メチル化制御の役割2008

    • 著者名/発表者名
      青木和久, 宮武昌一郎
    • 学会等名
      第18回 kyoto T cell Conference
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20080613-20080614

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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