研究概要 |
本研究では、多様な研究手法を包括的に用い、1)セプチンとRhoシグナルの相互関連が細胞の形態・機能発現に果たす役割り解明、2)Sept9の1アミノ酸変異を原因とする家族性神経痛性筋萎縮症を病態モデルとして、セプチンの機能・性状の異常が疾患を引き起こす分子メカニズムの解析を目的とした研究を遂行した。私共は、Rho/Rhotekinシグナルがセプチンの構造・機能制御に重要であることを見出していた。そこで、RhotekinがRhoとセプチンをつなぐキー分子であると考えてRhotekin結合蛋白質を探索し、細胞極性に関連する種々の蛋白質(Vinexin,ArgBP2,Ponsin,MAGI-1,Lin7,PIST,PATJ-MUPP1など)を同定した。Vinexin,PIST,Lin7については生化学・分子細胞生物学的解析を行い、これらの分子のRhoシグナル経路における位置付けを明らかにした。また、家族性神経痛性筋萎縮症の原因となるSept9の変異体を作成し、Rhotekinやセプチンとの相互作用メカニズムを正常型Sept9と比較検討した。その結果、他のセプチン(Sept4,Sept11)との相互作用の異常、および、Rhoシグナルに対する反応性の異常が病態の基礎であることを解明した。これらの結果より、セプチンとRhoシグナルには生理的機能連関が存在し、その破綻が病態と密接に関連することが示された。
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