研究概要 |
好中球の細胞質中で刺激物に依存してCa^<++>依存性に酸性リン脂質に可逆的に会合するアネキシン1も、ステロイドにより発現誘導される抗炎症蛋白であるが、その生理機能は明らかでない。本研究では、アネキシン1の病態制御作用機構を解析するため、アネキシン1Tgマウスを用いて種々の炎症病態に対する応答性を解析した。アネキシン1Tgマウスは、常法により作製した。炎症起因物質として、腹腔にカゼインあるいはエンドトキシンを摂取して解析した。各組織、血液を経時的に採取して種々の解析を行った。アネキシン1Tgマウスは全身性にアネキシン1を過剰発現し、カゼインにより腹腔刺激では、腹腔滲出好中球数の減少が認められた。さらに、滲出好中球は通常、誘導型一酸化窒素合成酵素が強く発現するが、Tgマウスでは、その発現が低下した。さらに、滲出好中球のスーパーオキシド産生能およびプロスタグランジンE産生能が低下していた。エンドトキシン刺激では、Tgマウスはwildタイプに比較して、生存率が有意に高かった。誘導型一酸化窒素合成酵素の発現をmRNAおよびタンパク発現で解析した結果、有意にその発現が低下していた。さらに、炎症性サイトカインであるTNFa、IFNgの血中濃度も低下していた。また、Tgマウスは、通常状態でもヘムオキシゲナーゼ1が各組織で発現誘導されており,これが、病態制御に関与する可能性が考えられた。次年度は、本動物モデルおよび培養細胞をもちいてアネキシン1の抗炎症作用を解析する。
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