1.膵癌培養細胞に対するlapatinibと抗癌剤の併用による相乗効果の検討 4種の膵癌細胞株Capan-1、Capan-2、Panc-1、MiaPaca-2を用いて、lapatinibとS-1併用による効果を検討した。抗腫瘍効果はMTT assayにより行い、併用効果は解析ソフトCalcuSyn 2.0を用いたMedian Effect Analysisのcombination index(CI)で評価した。CI=1ならば相加的であり、CI<1.0は相乗的であるがCIの値が小さいほど相乗効果が強いと考えられる。CI>1.0であれば2剤併用は拮抗的と評価される。LapatinibとS-1併用では検討した4細胞株全てで相乗効果が示され、CI値は0.310~0.643であった。 2.xegraftを用いたlapatinibとS-1の相乗効果の機序の検討 膵癌培養細胞を用いてnude mouseにxenograftを作成しlapatinibとS-1について、それぞれ単独投与と併用投与によるxenograftの増殖抑制率を測定しだ。その結果、検討した4種の細胞株のうちPanc-1とMiaPaca-2のxenograftは、併用で17.3%と7.8%の体積となり相乗効果を認めた。この2種の細胞株についてlapatinib単独投与を行ったxenograftからRNAを抽出し、RT-PCRを行ったところthymidylate synthase発現が減弱しており、これがS-1と相乗効果を示す機序の一つであることが示唆された。
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